フォーリーサウンドの意義と価値

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先日、東京の半蔵門で行われたSHUREのマイキングセミナー『アイデアが勝負!フォーリーサウンド制作』に参加してきました。とても有意義なセミナーでしたので私が感じたことをここで共有したいと思います。

セミナーの内容は、

 

  • フォーリーサウンドとは?
  • フォーリー作業の流れ
  • フォーリーに使われる道具や音の紹介
  • 映像に合わせてのパフォーマンス
  • Q&A

 

このような流れで進められて、知識を学ぶパートと実演パフォーマンスのパートに分けられていました。

各項目について感想や学んだことをお伝えしたいと思います。

『フォーリー』とは?

まず『フォーリーとは何か?』という紹介から始まりました。

フォーリーとは効果音を作る際の1つの制作スタイルを指しており、その制作スタイルとは、

 

作品映像に足りない音を、フォーリーアーティストと呼ばれる「道具を使って演奏する人」が作品映像に合わせてアクションし、その作品映像にマッチングした効果音を収録する方法です。

 

Jack Foley(ジャックフォーリー)という方がこの制作スタイルを確立したことが名前の由来となっています。

下記の動画は海外のフォーリーを紹介されているものですが、これを見ているとフォーリーがどういったものかが良く分かります。

フォーリー作業の流れ

次に、フォーリーの仕事がどのように分けられているか、またハリウッドと日本ではどういう作業の違いがあるのかをご紹介されていました。仕事は以下の4つに大別されるそうです。

 

  1. 『Foley Artist』--体や道具を使い、効果音を作り出す
  2. 『Foley Mixer』--マイクを駆使し、最適なセッティングやマイク選択を行う
  3. 『Foley Recordist』--ArtistとMixerが創り出した音を録音する
  4. 『Foley Editor』--上記全てを終えたあと、さらに細かく編集を行う

 

このような4つのプロセスを経て、作品にベストマッチングした音を創り出すそうです。

ハリウッドでは、この4つの仕事ごとに担当の人が割り当てられていて特にFoley Artistは複数人担当することが常識のようです。先ほどの動画でも確かに複数人担当されていました。これは人によって創り出す音が変化するためバリエーションを増やす目的や、一度で一人では再現できない音もあるからだそうです。

 

しかし、日本ではフォーリーの重要性や価値の認識が薄いため、予算をかけれず各パートをすべて一人でやるのが現状のようです。このことは残念に感じますが、今回のようなセミナーが開催されたこと、テレビでもフォーリーの様子が特集にされたりしていることから確実に認知されてきていると感じますので将来的には日本でもその重要性が認識されるのではないでしょうか。

 

また、この4つの仕事に入る前に録音用のキューセッションが作成されていることも紹介されていました。これは先に必要な収録素材をリストアップし、プロジェクトファイルの中に空ファイルをセットしておくもので、あらかじめどんな音がどのタイミングで必要かを知る、且つ録音漏れを防ぐために作られるとのことです。仕事の効率化ですね。

フォーリーに使われる小道具

次に紹介されたのは、フォーリーに使われる小道具とマイクです。マイクは作品によって使い分けられ下記のようになることが多いそうです。

 

  • 実写作品 ⇒ 撮影時に録った音と近いマイクを選ぶ(ショットガンマイクやラベリアマイク)
  • アニメ・CG ⇒ S/N比の良さや音質を重視したマイクを選ぶ(コンデンサーマイク)

 

また、プリアンプやEQ、コンプに求める性能として『S/N比がよく、急激な入力に耐えれるもの、また急激な加工を施せるもの』が挙げられていました。これはフォーリーの収録はピークが激しかったり逆にものすごく小さな音を録ったりとダイナミックレンジが広いためだそうです。

 

次に、小道具の紹介です。誰でも揃えれるものがほとんどで、私自身も色んな小道具を使って効果音を作るため非常に共感できる部分が多くて楽しかったです(笑)紹介された小道具と使用例の一覧をまとめますと、

 

  • 剣の抜刀や打合い ⇒ 100円均一のスコップ(複数種類)を擦らせたり打ち合う
  • 足音       ⇒ 平板(正方形の小さな盤)の上を目的の靴を履いて歩く
  • 人が倒れる音   ⇒ 重りを入れたリュックサックを地面へ叩きつける
  • キック音     ⇒ クッションを釣り竿で叩く
  • 手を握り締める音 ⇒ スキーグローブをはめて握り締める
  • 空振り音     ⇒ 釣り竿を振る
  • 大砲の音     ⇒ 膨らませたハンカチを叩く
  • 炎が燃え盛る音  ⇒ コンビニの袋をマイクにかぶせて揉む

 

このような音を実際に小道具を使ってご紹介されていました。この中でも私が驚いたのは大砲の音で、ハンカチにそんな応用があったのかと感嘆してしまいました。

映像に合わせて実際にパフォーマンス

最後に行われたのはなんと実際にスクリーンに映像を映し出し、その場でフォーリーをしてしまうという実演パフォーマンスです!私はフォーリーの現場をこれまで見たことが無く、また将来的にフォーリー収録を出来る環境を構築したいため非常に有意義な内容でした。大阪から出向いた甲斐があったと思えた瞬間ですね(笑)

 

映像は2パターン用意されており、

 

  • 1つめは、「足音」「キック」「人が倒れる」「お札が舞う」「ジャンプ」
  • 2つめは、「剣を抜く」「剣を構える」「走る」「ジャンプ」「空振り音」「剣を打ち合う」

 

という内容をその場でフォーリーしていく様子を生で紹介されていました。

このとき感じたことは下記のことです。

 

  • 各音はまとめて演技せず、個々に演技して録っていく
  • 音の演技をするタイミングは、事前にタイムカウントを把握しておく
  • 演技は目的の映像が出る少し前から始めている
  • 映像に注視しながら演技する
  • 小道具は前もって目的の音が出せる状態を作っておく

 

実際のフォーリーを目にして思ったのは、『声のアフレコ』や『楽器の生演奏』に近いイメージだということです。同じ音は二度と出せないライブ感や気持ちを込める演技など『ナマモノ』でることが印象的でした。だからこそオリジナリティも生まれるし、躍動感も出るんでしょうね!

まとめ フォーリーの意義と価値

このように非常にアナログな手法で収録されていくフォーリーですが、なぜこの手法が使われるのでしょうか。

例えば市販されている効果音素材集やネットで配布されている素材を引っ張ってきて、それを加工、デザインすれば済むんじゃないか?という疑問も出てきそうです。

 

この制作方法の最大の特徴は、「その映像で起こっていることに対して、忠実で具体的な音を創り出せる『説得力』」があるということだと感じます。効果音の尺、ダイナミクス(強弱)、ニュアンス、質、など映像と音のシンクロを最大限に発揮して不自然さを徹底的に失くす。皮肉なことに、説得力が増せば増すほど映像との違和感がなくなり、観ている側は効果音が創られていることに気づくことができません。まるで『その場で音が鳴っているかのように聴こえる』からです。

 

『創っていることを気づかせないほどの自然さを表現できる』

 

これがフォーリーという手法が使われる理由ではないかと、私は感じています。

市販の素材集を使ってこの説得力を出すのは、非常に手間がかかるうえ困難です。作品のイメージと素材のもつイメージが近ければよいのですが、そういうことは稀で、素材を加工することがほとんどでしょう。また、素材を探す時間もコストのかかる作業です。

 

フォーリーの重要性と価値に改めて気づかされたセミナーでした!

 

 

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